にっぽん丸 道東と平泉クルーズ乗船記(2005年9月2日)

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5日目 大船渡港 入港9:30 出港18:00

にっぽん丸は最後の寄港地、岩手県の大船渡港に向かいます。左はトイレで目覚めた朝の4時頃、一晩中走り続けてようやく三陸海岸に近寄って来た航跡を表しているモニターです。

霧の道東から東北地方に下りて来ましたが今朝は良く晴れている様です。三陸海岸に沿って下るにっぽん丸は朝8時頃には陸中海岸国立公園の首崎あたりを航走しており、もう右舷には大船渡湾が迫っていました。朝食を「瑞穂」で摂っている間、大きく綾里灯台の沖を回って船は大船渡湾の防波堤を交わして湾内に入って行きます。
湾内は牡蠣の養殖用だと思いますが、筏が水面狭しと並んでいて大型船の航路はとても狭くなっている様です。 大船渡湾の一番奥まったところ、セメントの工場の手前に、にっぽん丸が停泊する野々田埠頭があり、岸壁上は、にっぽん丸入港歓迎の式典の準備が整っていまや遅しと多くの人が本船の入港を待っています。
埠頭の前でにっぽん丸が180度回頭して着岸するとまず地元の女性による太鼓の演奏があり、その後市長さんの歓迎挨拶が始まりました。ところが市長はスピーチの中で最初は本船のことを正しく「にっぽん丸」と呼んでいたのですが、途中から「『飛鳥』の入港を歓迎します、『飛鳥』入港ありがとう」と幾度も叫んでおりました。大船渡は大型客船の寄港誘致に力を入れており、飛鳥はほぼ毎年寄港しているそうですが、誰か注意してあげたらいいのにと思いました。

今日は午後から「義経ゆかりの平泉」というバスツアーに参加します。このツアーは「にっぽん丸 道東と平泉のクルーズ」に最初からセットされており、追加費用なしで有名な中尊寺まで行けるため参加する事にしました。よって今日の運動タイムは午前中に設定、大船渡の町をジョギングする事にしました。10時頃船を出て、大船渡湾の入り口に向かって海岸際の道を走り始めました。さすが三陸リアス式海岸の町、すぐに山が海に迫り、道も細くなり湾の入り口に向かう道は、走るコースとしてはいまいちかもしれません。

それにしても、チリ地震大津波の時は、波が土手の上を走るJR大船渡線の高さを超えて 山のところまで押し寄せたとか。あちこちに津波の際の避難経路や避難場所の掲示、津波の警戒を喚起する標識があって、その時の恐ろしさは大変なものだった事がわかります。 景色が単調になったので適当な所で走る方向を変えて、大船渡の町に戻る事にしました。JR大船渡線に沿って市街地を南から北に3キロほど走り、今度は北から太平洋セメントの工場に沿って船に戻る事としました。1時間ほど走って船に戻った時は汗びっしょりになりました。こうして摂取過多のカロリーの辻褄を合わせます。

ツアーは12:30出発なので下船して岸壁の上のバスに乗り込みます。ここから2台のバスで中尊寺に行きますが、その他にも午前中一関に寄ってから中尊寺に廻る別のツアーもあり、中尊寺の人気が高い事がわかります。我々のバスは大船渡から三陸海岸沿いに一旦南におり、陸前高田市から国道343号線をたどって平泉に向かいます。山道をバスに揺られて一時間半。目の前に北上川の大きな流れが広がると、平泉も間近くなります。中尊寺に着く直前には、おりからの夕立も上がり、みちのくの緑が一層眼に映えました。
中尊寺は、開山西暦850年、以来奥州藤原氏の寺として、東北地方随一のお寺として栄えてきました。12世紀までには次々伽藍が建てられ、その勢力は大変なものだったようです。しかし源頼朝の軍勢に、義経、弁慶がここ平泉で果て、中尊寺もその栄光が途絶えるわけですが、長い歴史ドラマの中心地として多くの観光客が今も参拝に訪れます。中でも金色堂は1124年の建立で、金でできた阿弥陀堂はまさに極楽浄土を表していると言えます。
広い中尊寺を1時間ちょっと拝観してバスに戻る途中、東北本線と、義経と弁慶が死んだとされる衣川(鉄橋がかかっている辺り)、それから遠くに北上川が見えました。ここは夫が高校生の頃に来てとても気に入った場所だと言っておりましたが、その当時私は幼稚園の年長さんだったので義経など知る由もありません。16時前にバスに乗り、来た道をまた船に戻ります。
新幹線で帰れば、隣の一関から3時間もあれば東京に到着してしまいますが、ここから またバスに乗って山を越えて船に戻り、一晩かけて太平洋を東京に帰る「スローライフ」 そのものの船旅です。途中渋滞があったため、大船渡港に戻ったのは到着予定を20分程過ぎた18時10分位前でした。出港が18時なので、単独行動だと焦ってしまいますが、絶対待っていてくれる安心感は予め用意されたバスツアーならではです。
18時の出港を前に、暗くなり始めた岸壁の上はにっぽん丸の最後の夜を前にここで東北みやげを買う人、水揚げされた地元観光協会が提供してくれる魚介類を楽しむ人などで出港間際まで賑わっていました。私も地元の銘菓「かもめの玉子」を急いで買い求めました。ただツアーのバスの一台が、途中トラブルのため出港時間を20分ほど遅れて港に着いたのはちょっとしたハプニングでした。暑いとはいえ、秋の夕暮れは早く暗くなります。
バスが遅れた為、船は慌しく30分遅れで出港しましたが、紙テープに見送られて大船渡の岸壁を離れた頃には、あたりはすっかり夜のとばりがおりて暗くなっていました。大船渡湾内の暗く狭い航路を筏を避けながら出て行くのは大変な仕事です。しかも今晩は18時45分から「ドルフィンホール」で船長主催のフェアウェル・パーティが開かれます。ブリッジでの操船を終わり、休むまもなく今度は乗客の相手をする中山船長の苦労が想像されます。

19時15分からのフェアウェル・ディナーでは、我々は機関長(チーフ・エンジニア)のテーブルに招待されました。作業着を着替えてのエンターテインメントですが、色々と専門的な話が聞けて面白かったです。機関長のことを「チエンジャー」と呼ぶと聞いてはいたのですが、夫が「チエンジャーね、・・・」と話しかけると「ハイ」と普通に返事をしたので「あ、ホントなんだ」と妙に納得してしまいました。
  • 〜前菜〜 活帆立貝とメロン・コン・プロシュート キャビア添え
  • 〜スープ〜 ふかひれと蟹身のオリエンタル風
  • 〜魚料理〜 魚介のワイン蒸し オリーブ・オイル・ソース
  • 〜グラニテ〜 シークワーサー(ヒラミ・レモン)
  • 〜肉料理〜 合鴨のロースト 和風バルサミコ・ソース  季節の野菜添え
  • 〜サラダ〜 グリーン・アスパラガスとマッシュルームのサラダ
  • 〜パン〜 にっぽん丸特製パン&バター
  • 〜デザート〜 フルーツ盛合せ(梨、プラム、苺)&ショコラ・ムース チョコレート・アイスクリーム添え

このまま明日東京についてしまうのももったいないな、と思いましたがメインショーに行くのもちょっと面倒になってしまったので、夕食後は2階にあるアロマセラピーの足裏マッサージに2人で行く事にしました。料金は40分で4,200円です。ちょっとした出費ですが、毎日運動したご褒美という事で思い切って奮発する事にしました。連日の観光とジョギングで疲れた足をプロの手で揉みほぐしてもらい、痛気持ちいい極楽気分でした。こうしてにっぽん丸での最後の夜もゆっくりと時間が過ぎていきました。