北斗星1号 上野〜札幌 乗車記(2007年9月9日〜9月10日)

<2007にっぽん丸乗船記>

乗車するまで 乗車中

上野 16時50分発(入線時刻16時36分)
「北斗星」の入線からチェックしようと少し早めに上野駅に行った所、同じ13番ホームから先行の「カシオペア」が出発する所でした。後姿を見送った後、予約した10号車の位置を確認してから機関車を撮影するために一番先頭まで歩きます。
「北斗星」が後進で36分に入って来ました。これで札幌まで行くのかと思うと気分は高揚し、北斗星専用カラーに塗装された赤い機関車「EF8181」や客車を鉄道少年に混じって撮影しまくりました。発車まで20分しかないので駆け足でとりあえず全車両を撮影しました。

先頭の機関車乗車する10号車
中央の大きい窓が私達の客室です
最後尾の電源車
↑札幌(上野出発時) 北斗星3号(参考)
1号車オハネフ25-2B寝台オハネフB寝台
2号車オハネ25-561デュエットオハネB寝台
3号車オハネ25-563デュエットオハネB寝台
4号車オハネ25-566デュエットオハネB寝台
5号車オハネ25-552ソロオハネフB寝台
6号車スハネ25-501ロビー・ソロオハロビーカー
7号車スシ24-501食堂車スシ食堂車
8号車オロネ25-551ツインDXオロネツインDX
9号車オロハネ25-558ロイヤル・ソロオロハネロイヤル・ソロ
10号車オロハネ25-553ロイヤル・デュエットオロハネロイヤル・デュエット
11号車オハネフ25-8B寝台オハネフB寝台
 マニ24-502電源車マニ電源車
左は今回乗車した「北斗星1号」の編成図です。JR東日本編成の「北斗星3号」と異なり、個室が中心となっているのが特徴です。

個室B寝台が「ソロ」、二人用個室B寝台が「デュエット」と呼ばれています。二人用個室A寝台が「ツイン・デラックス」、一人用個室A寝台が「ロイヤル」です。

「ツイン・デラックス」の寝台料金は1人\13,350-ですが、「ロイヤル」は\17,180-。「ロイヤル」の二人目の利用者の寝台料金が補助ベッドということで\9,540-になるのがポイントでした。補助ベッドと言いつつ、もともとの80cm幅ベッドに60cmが足されて140cmのダブルベッドになるのです。
機関車から順番に10号車まで来た所で、夫はさっさと指定した12号室に入ってしまいました。すぐに「ウェルカムドリンク」が運ばれているのが窓越しに見えました。11号車と後姿を何とか撮影し、発車まであと3分と言われ、慌てて私も乗り込みます。かなり冷房が効いています。
部屋に入ると贅沢な空間が広がっています。ここで16時間も過ごせると思うと益々興奮する間もなく、列車はすべる様に上野駅を発車しました。さすが機関車に牽引される客車列車です。「ウェルカムドリンク」はミネラル・ウォーター、お茶の他小樽の白ワインとニッカのミニボトルでした。氷も付いています。

早速サービスのワインを飲もうという夫に、乾杯はビールでしょうと食堂車まで買いに行ってもらっている間、部屋の写真を撮影します。大きな窓は開放的です。また、食堂車と直通のインターホンが付いていて、パブタイムにはルームサービスも頼めるそうです。
私達のいる10号車には通路に昔の名残だという簡易椅子がついていて、そこで京浜東北線を見ながらビールを飲みました。赤羽駅等を眺めながら不思議な気分です。大宮で車両点検があり10分遅れましたが、食堂車の1回目の案内放送が少し遅れてあったので、二人で向かいました。
食堂車は2人用と4人用の席がありましたが、私達は進行方向向かって左の席に案内されました。本格的にテーブルセッティングがしてあります。そして窓の外は丁度夕日が沈む所でした。
列車は利根川を渡ります。ハウスワイン (ラウンドヒルワイン・カシオペアオリジナルデザイン仕様)の赤を注文しました。リーズナブルな1,500円です。

オードブル魚料理肉料理
丁度いい具合に温められたパンは美味しくておかわりしてしまいました。魚料理のあたりで小山駅に到着し、更に車両点検で30分以上停車していました。デザートのあとはコーヒーを飲んで大満足のフルコースでした。子供の頃新幹線のビュッフェに行きたいと言っても「高い」と却下されていたため、昔のビュッフェや食堂車はわかりませんが、列車でこの様に本格的なディナーを楽しめるとは感激でした。
食事中にすっかり日が暮れましたが、車窓を楽しむという点では早い時間の食事で正解でした。なお、食堂車ではフレンチのフルコース(\7,800)の他に「北斗星懐石御膳」(\5,500)もあります。懐石御膳は「ロイヤル」の場合、ルームサービスにすることも出来るそうです。
19時ちょっと前に食堂車を後にして部屋に戻りました。レジの奥、食堂車の後部に厨房がありました。
部屋に戻った途端夫は爆睡、20時過ぎにアイスクリームの社内販売260円がやって来たのでもちろん買いました。この旅行の直前に購入した小さいPCを開き、車中の状況を記録します。電源は洗面台の横にしかないので、持参した延長コードで繋ぎました。一歩部屋を出ると列車の通路があり、不思議な気分です。

ベッドメイクは21時にお願いしてあり、車掌さんが3人でやって来ました。補助ベッドを引き出すとダブルベッドの出来上がりです。シーツが半分しかないと思ったら元のが縦に2つに折ってありました。流石にこれは部屋中ほとんどベッド、みたいな状態になりました。列車は福島駅に停車しました。

夫が復活したので、車内探検に出かけました。まず後方の11号車のB寝台を見て、それから一番先頭の機関車連結部分まで遠征しました。途中7号車が食堂車、その先6号車に共同シャワーとロビーカーがあります。

力強く客車を牽引している(と思われる)EF81の雄姿です。途中二度の車両点検があり定刻より50分程遅れていますが、その後調子を取り戻した様です。この81号機は後日調べた所、「お召し機」だそうで連結器や手すりが銀色なのがその証だそうです。
部屋に戻る途中、食堂車「グランシャリオ」ではパブタイム営業をやっていたため、折角(?)だからと軽く飲んで行くことにしました。サッポロ・クラシックの生がありました。列車はやはり50分程度遅れで22時過ぎに仙台に停車しました。

そして「ロイヤル」の特権、自室のシャワールームに入りました。収納式の洗面台(左の写真)とトイレ(洗面台の下)と一緒になっているのですが、機能的で思いのほか気持ちよくさっぱり出来ました。アメニティーグッズと、フェイスタオル、バスタオルがあるので男性であれば身一つで乗車も可能だと思います。やはりパブリックスペースに出ずに済むのは気楽だし贅沢です。

ちなみにこの収納式トイレは、便器部分が浅くて高さも低いため、男性には若干使い勝手が悪い様でした。
一関を23時過ぎに発車し、一旦「JR」とプリントのあるお洒落な浴衣着てを寝ましたが、かなりの騒音と揺れであまりよく眠れませんでした。50分の遅れを取り戻すべくかっとび回復運転で、しかもこの辺りは保線状況も悪いようでした。

青函トンネルは初体験なので3時に目覚ましをかけて待機しました。夫も眠れないらしくしばらく二人で真っ暗な車窓を眺めていましたが、ようやく40分位遅れの3時40分過ぎにトンネルに進入しました。ここは専用の機関車が引いているので、是非見に行きたいと夫を誘いましたが「ヤダ」。仕方なく10号車からはるばる先頭まで一人で見に行きました。人気のない寝台車をトンネルの中歩いているのはちょっとだけ怖かったです。西村京太郎のサスペンス、「寝台特急“北斗星”殺人事件」等の題名と効果音が頭に浮かびます。

誰もいない通路誰もいない食堂車誰もいないロビーカー

道中誰にも会わず、何かあったらどうしよう、とドキドキしながら先頭まで行きましたが、肝心の撮影はフラッシュが雨滴に反射してしまい、形式をうまく写せませんでした。この機関車はED79型で、青函ATCを装備しています。これがないと青函トンネルを通過出来ません。

その後、無事ED79を見た満足感からか、先程までの寝苦しさがウソの様に爆睡してしまいました。

次は函館でまた機関車を付け替えるので5時に起床し、着替えて重連のDD51(ディーゼル機関車)を撮影します。札幌駅のホームの長さの関係で、このヘッドマークはここでしか撮影出来ないというので必死でした。ヘッドマークの向こうに、新潟県中越沖地震の影響で2ヶ月近く運休している、トワイライトエクスプレスの電源車が写っていました。

朝は7時にモーニングコーヒーをお願いしてあったので、3回目の目覚ましにより起床です。窓の外はどんよりとした北の空と太平洋が広がっています。食堂車「グランシャリオ」は予約なしで朝食を取れるのですが、ちょっと面倒になり、車内販売で幕の内弁当とサンドイッチにしました。なお、このモーニングコーヒーと朝刊(北海道新聞)も「ロイヤル」ならではのサービスです。
7時10分頃洞爺を出た後は、20分〜30分おきに駅に停車します。東室蘭、登別、そして春先に行った苫小牧を8時半過ぎに発車すると、札幌まであと1時間もありません。アナウンスによると、列車は10分遅れぐらいまでに回復した様です。
ハイケンスのセレナーデが流れ、アナウンスが間もなく札幌であることを告げます。すべる様に9時半過ぎに札幌駅に入線し、16時間ちょっとの列車の旅が終わりを告げます。

ハイケンスのセレナーデ 88KB
下車した後名残惜しく、私達の居た部屋や、北斗星専用に塗装されたDD51を撮影しました。函館で激写したヘッドマークはホームの端の丁度真横の位置に来るため、見ることも撮影することも不可能でした。

ほどなく、北斗星は回送されて行きました。

運よく「ロイヤル」が取れたこともあり、素晴らしい列車の旅を満喫することが出来ましたが、あれもこれもとかなり貪欲に好奇心を満たした結果札幌駅でしばしボー然、「北斗星」は今回の旅の序章だと言うのに達成感で一杯でした。【2007年9月記】
札幌 9時30分着(定刻9時18分)

乗車するまで 乗車中