太平洋フェリー きそ 名古屋〜苫小牧乗船記(2007年4月29日)

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3日目 苫小牧(仙台から301海里、名古屋から721海里) 入港10時45分
明け方位からかエンジン音が何かと共振して「ゴゴ」「ビビー」ともつかない不快な響きが伝わっているのを寝ながら感じる様になりました。船が時化で不快に揺れています。それでも7時の「レストランの準備が整った」というアナウンスまでうつらうつら寝ていたのですが、起き上がってカーテンを開けると鈍い北国の曇り空、海面は波頭に白波が立ち、北西から大きなうねりが本船に押し寄せています。丁度津軽海峡の東口にいるのでした。波頭に船首を立てる為にエンジンの回転を上げているのか、プロペラの空転を防ぐ為に回転を落としているのか、いずれにしても大きな共振音でした。
揺れる室内でよろよろと洗面をすませ、レストランが空くであろう時間まで、外に出て朝一番のワッチをします。フィンスタビライザーが装備されているので、それ程揺れている訳ではないのでしょうが、気を抜くと船酔いしそうです。
そろそろ混雑も収まったであろう、8時半過ぎにレストランに入りましたが、渡島半島の風下に入ったのか時化もおさまり、船体のうなりも聞こえなくなりました。そしてレストランの窓の外には春の青空が広がりました。
この船には、「マーメイドクラブ」というほぼ常時オープンのスナックもあり、そちらにしてもメニューは豊富でリーズナブルです。その他仙台港では、ターミナルから1.5kmくらいのところにあるジャスコで食料やアルコールを買い込んでいる乗り慣れた船客も見受けられ、食に関しては色々な選択肢がある様です(右の画像をクリックすると拡大します)。
青空の向こう、遠くに樽前山の雪景色が浮かんでくる頃、八戸行きの川崎近海フェリー「べが」とすれ違うともうすぐ苫小牧です。

防波堤を越え、「きそ」はゴールデンウイークの為荷役する船もあまり多くない苫小牧港にしずしずと入って行きます。
定刻の10時45分「きそ」はゆっくりゆっくりと苫小牧に着岸しました。名古屋から1,300キロあまり、38時間の船旅はとても快適でした。クルーも細かい点まで注意を払っているし、乗客も乗り慣れた人が多いのか、客船では見られない子供連れのファミリーがゆったりと船旅をエンジョイしている様に見えました。
新幹線も入れると東京を出てから丸二日弱、昔の急行「十和田」+青函連絡船+函館本線で上野から札幌までまる一日かかった悲壮感から比べると、時間は倍かかるけどなんとリラックスして北海道の地を踏めるのだろう、まさに隔世の感あり、とは一回り年上の夫の弁です。私は以前の悲壮感まではわかりませんが、時間さえ許せばおすすめルートだと思います。
さて、フネを去りがたく客船の感覚でいつまでも乗っていたい私達夫婦は、船内からの最後の下船者になってしまったようで、ロビーより1つ下の4階甲板の下船口から、最後は(階段が急なので)転がり下りるように下船しました。
苫小牧は太平洋フェリーの他、商船三井フェリーの大洗行きと、川崎近海汽船の八戸行きの3つのターミナルが並んでおり、時刻表や電光掲示板があるなど定期航路ならではです。
この日は札幌に行くだけでしたが、ターミナルにあった苫小牧港を紹介した展示施設を見学したり、建物から見た「きそ」を撮影したりとぐずぐずしていたため、苫小牧駅行きのバスに乗り遅れ、タクシー1,360円をかけて苫小牧駅に行きました。
苫小牧からはJR北海道の12時21分発の普通電車で1時間ちょっとかけて、目的地札幌に到着したのは13時36分(料金1,410円)でした。車窓からは、いかにも北海道という感じの風景と、千歳のポケモンジェットが見えました。
出張と旅行で何度も来ている夫と違い、私は初の札幌です。札幌と言えば「サッポロ」、新鮮な「生ビール」と名物「ジンギスカン」が王道でしょう。この目的を達成するために一番便利であろうということで、宿は「サッポロファクトリー」脇にある「ホテル クラビー」と言うサッポロビールが唯一直営するホテルを予約しておきました。
右はホテルの窓から見える「サッポロファクトリー」ですが、ここでゆっくりと寛ぐ間もなく、市内観光がてら休日の日課のジョギングに出かけることになりました。まず南下して中島公園に寄り、それからかのすすき野を走りながら見学、たぬき小路の人ごみをすり抜けて大通り公園を走り、有名な時計台へ。旧道庁のレンガ造りを見てから植物園の脇を走り抜け、北海道大学の中を獣医学部の方まで合計11.5キロを85分かけて効率良く札幌見学は終わりました。
ホテルに戻ってお風呂に入ってさっぱりし、ホテルの人に予約してもらった、ファクトリー内の「ビヤケラー札幌開拓使」に行くと流石の13種類の生ビールのディスプレイ。

ここにはカニ、寿司、ジンギスカンの食べ放題というメニューもありましたが、ビールも沢山飲みたいのでアラカルトにすることにしました。前菜でジャガバター等を楽しんだ後、塩味というのが珍しかったので手もみジンギスカン(塩)を1人前と、おすすめの生ラムジンギスカンを注文しました。ビールの方は二人で合計7種類を堪能しました。
賑わう店内「クラーク」「エビスの黒」「じゃがバター」野菜もたっぷりジンギスカン

サッポロファクトリーは開拓使麦酒醸造所跡地を利用して作られた施設で、このレンガ館は大正時代の物なのだそうです。