にっぽん丸 秋の横浜ウィークエンドクルーズ乗船記(2007年9月16日)

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6日目 航海日
「にっぽん丸」の朝はブリッジからの八点鐘で始まります。本船は明け方に漂泊していた相模湾から伊豆大島に向かって南下し、元町港沖を航行中のようです。九州の西方に台風があるものの、この辺りは夏の太平洋高気圧が優勢で窓の外を見ると快晴の青空が広がっていました。

「にっぽん丸の八点鐘」 790KB

しばらく大島・三原山の御神火を左舷に眺めながら朝食です。夫は和食、私は洋食を選択しました。「にっぽん丸」特製の焼き立てパンは本当に美味しいです。

続いて右舷側に利島が見えて来ました。近づく島を眺めているのは楽しいですが、今回の避難訓練は9時15分からなので部屋に戻ってライフジャケットを着込みました。
避難訓練も三度目となると、すっかり慣れてしまって態度も図々しくなり、チーフオフィサーの説明もテキトーに流してしまいました。

避難訓練が終わって少しした9時40分頃、新島を通過しました。白い壁は「白ママ断層」と言って高さ30m〜250m、長さが約7kmもあります。

10時過ぎ、遠くに艦影から護衛艦と思われるフネが見えました。

10時半頃、ブリッジ見学に行くと日本郵船の貨物船「OCEAN COMPASS」が本船の右舷前方から近づいて来る所でした。この貨物船はブリッジのAISによると、カナダのロバーツバンクへ向かっている事がわかります。夫によるとこれは石炭運搬船で、これから大圏航路を通ってカナダに石炭の積み取りに向かうのだろうとのことでした。 その時、突如、相手船のブリッジからVHFで本船の今後の針路予定を聞いてきました。東海汽船の定期船以外にこの辺りを南下する船はあまりいないのでしょうか、AISで本船の船名や現在の針路はわかっても、客船は一般の航路から外れる事も多いので気になるのでしょう。帰って調べた所、全長290m、全幅45m、喫水18mの堂々たるケープサイズバルカーでした。就航は2006年とのことで、道理で全体的にまだ綺麗でした。

三宅島には11時前に接近、島の北部の工場の煙突から煙が見えます。2000年の火山の噴火により住民は長い間、本土に避難生活を余儀なくされていたのですが、2005年には観光客の受け入れを再開しています。
午前中のブリッジ見学の時間帯はサードッサー(三等航海士)の当直時間ですが、出来るだけ島に近い場所を航行するためか、常に忙しく船位を確認していました。これは沿岸を航行する際の基本的な船位確認方法ですが、ブリッジの両側に設置された磁気コンパスで、海図に記載されている物標の方位を素早く2ヶ所測定し、その方位線を海図に記入して交点から船位を求める方法です。

本船はお昼頃御蔵島の南端をぐるっと回ります。御蔵島のこちら側は断崖絶壁で滝もあり、空気が島に当たり雲が湧いて素晴らしい風景です。 先ごろハワイクルーズで見たナパリコーストにも似た絶景にしばし見とれてしまいました。東京から近い伊豆諸島にもあまり知られていないこんなに素晴らしい 観光資源があるとは驚きでした。

←御蔵島の「海食断崖」
スケールこそ違いますが、両方とも火山列島なのだと実感出来ます。
カウアイ島の「ナ・パリ・コースト」→

御蔵島を回って三宅島の西岸をかすめるとと本船は針路を北西にとり神津島に向かいます。
神津島は14時半頃通過しました。海の色がとても綺麗で絶好の航海日和です。
今日もビンゴゲームやらデジカメ教室やら船内のアクティビティーは沢山用意されていましたが、すべてパス、久しぶりに船上でのゆっくりした時間を楽しみました。少しは運動しなくてはとプールに行った所、小樽/横浜クルーズとはうってかわって大変な混雑でした。
「にっぽん丸」は石廊崎を17時ちょっと前に通過し、今度は黄昏の伊豆半島西岸を北上します。この辺りは海岸からいきなり崖になっており、伊豆半島でも最も交通が不便な所です。写真の中央やや左にある白い点が石廊崎灯台です。

土肥から清水へ向かう駿河湾フェリー「富士」を視界に捕らえるまで北上して来ましたが、本物の富士山は残念ながら夕方になって雲の中に入ってしまい望む事はできませんでした。「にっぽん丸」は17時半頃、180度回頭し再び南下。こんなに大きな船が自由にあちこち回遊し、また波の少ない所を選んで遊覧船の様に近海をクルーズしてくれるのは本当に贅沢です。

ところで「にっぽん丸」にはビールの自動販売機があってリーズナルに手に入れることが出来るのですが、デラックスルームの冷蔵庫にはビール、ジュースの他ウィスキーのミニボトルが常備してあります。これらをデッキのベンチで飲みながら今回のクルーズ最後の夕暮れを名残り惜しみます。
今夜はインフォーマルのディナーなので、部屋に戻ってシャワーを浴び、それなりのコスチュームに着替えて船長主催のカクテル・パーティに赴くと、ステージ一番近くの席に案内されました。

毎回かどうかわかりませんが、デラックスルームに宿泊すると船長や機関長の席に招待する旨の招待状が前日夜に届いています。今回はチエンジャー(機関長)のテーブルに招待され、一昨年の道東・平泉ツアー以来久し振りにチエンジャーとお話をしました。MOPASは移民船の時代から途切れずに客船のサービスをしているので、客船の食事に精通している、その為に食事の評判が良いという話が印象的でした。たしかに「 にっぽん丸」の食事は秀逸でどれもとても美味かつ適量、適温です。
キャビアのエッグ仕立て白い茸のパイ包みスープ鯛の香草焼き
才巻き海老&ラタトゥユ添え
牛フィレ肉シャリアピン風
オニオンソース
フルーツ・トマトと
ホワイトとグリーン二色アスパラガスのサラダ
北海道赤肉メロン&ガトーアールグレイ
ブルーベリー・チーズアイスクリーム添え

食後はバリトンの宮本益光のショーを堪能してにっぽん丸最後の夜も更けて行くのでした。
初日以外は皆勤だったリラグゼーション&ストレッチの後、アロマテラピーで夫と二人、ひざ下のフットケア30分5,250円を堪能した後一日を終えました。フネは伊豆半島東海岸を北上し、湘南海岸の沖あたりで漂泊しておりました。今度こそクルーズ最後の夜となってしまいました。