セレブリティ・マーキュリー アラスカクルーズ乗船記(2008年7月13日〜7月20日)

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1日目 バンクーバー 出港17時
およそ1年半ぶりの海外クルーズは、夫のたっての希望によりこのシーズン世界の客船が集結するアラスカとなりました。アラスカはカリブ海、地中海と並んで人気のクルーズエリアです。この地域のクルーズに関する予備知識がないまま日程を重視した結果、セレブリティ・クルーズ(ロイヤルカリビアン傘下)の「セレブリティ・マーキュリー」に乗船することとなりました。

フネの検討経緯と2008アラスカクルーズのスケジュール
夫の手配により、バンクーバーではカナダ・プレイスのクルーズターミナルの真上にあるパン・パシフィックホテルに前泊したお陰で、土曜日出港のHAL「スタテンダム」RCI「セレナーデ・オブ・ザ・シーズ」、それから北航の「サファイヤ・プリンセス」を見送ることが出来ました。長崎生まれ、11万6千トンの「サファイヤ・プリンセス」は流石の迫力でした。

土曜日出港の「サファイヤ・プリンセス」

カナダ・プレイスのターミナルは客船2隻分岸壁がありますが、日曜日はHAL「フォーレンダム」とNCL「ノーウェイジアン・サン」がそれぞれ着岸していて、「セレブリティ・マーキュリー」はそこから車で10分程離れたバランタイン・ピア使用でした。

本船の出港は日曜日の17時ですが、乗船受付は12時からで、混雑するであろう受付開始直後の時間をはずして、ホテルからタクシーで12時20分頃バランタイン・ピアに到着しました。雲ひとつない晴天のもと、紺色に塗られた船体が優美です。

私達が部屋のカテゴリーを選ぶ時、法外な料金設定でなければバルコニーは必須条件です。もともと夫は「部屋は寝るだけだからどこでもいい」主義だったのですが、日中の活動を一通り終えた後、ディナーまでの間に飲む一杯はバルコニーで引き波の音を聞きながら、という贅沢さをここ2〜3年で漸くわかってくれた様です。

と言うことで今回はすんなりと「2Aプレミアム海側(プレミアム・オーシャンビュー、ベランダ付」のカテゴリーの見積りを取ってもらったのですが、ネット検索によると、「CCコンシェルジュ・クラス」というカテゴリがあり、部屋の造りは同じですが10Fペントハウスデッキにあって、優先乗下船と乗船日のウェルカムシャンパン やカナッペのサービスを受けられることがわかりました。差額によってはそれでいい気分になるのも悪くないかな、とこちらの見積りを取ってもらう様夫に頼んだ所、「いいサービス≒バトラーサービス」の部分だけが(誤って)伝わり、結果として何と「SSスカイスイート」を予約してしまったのでした。

ちなみに、帰って来てからわかったのですが、この時に見積りが出ていたのは「SVサンセット海側」のバルコニーで、8Fの船尾部分に9室、10Fの船尾部分に5室しかない珍しい部屋でした。
プレミアム海側サンセット海側コンシェルジュ・クラススカイスイート
客室15.9u 16.2u 15.9u 22.8u
バルコニー3.9u5.1u3.9u6.4u
デッキ9F8F、9F10F10F、12F
バスシャワーのみシャワーのみシャワーのみバスタブ有り
特記--乗船日にシャンペン、
カナッペのサービス
バトラー(執事)サービス
料金N/AUSD2,030-N/AUSD2,836-
別途ポートチャージUSD219-、諸税USD104-、燃料サーチャージUSD56-

今回で外国船は三船目ですが、やっとスーツケースを預ける場所がわかり、部屋番号のタグを付けて引き渡すことが出来ました。日本的感覚だと桟橋の建物に入ってから荷物を預けるのだろうと思うのですが、ホノルルでもそうでしたが建物に入る前の「そこらへん」に預け口がありました。

それから手荷物検査を通り、チェックインカウンターに行った所、早速スイートは列を作らずに済む専用のカウンターが設置されていました。この他「キャプテンズクラブ」というリピーター会員用と、「CCコンシェルジュ・クラス」も専用のカウンターがありました(右の写真が専用カウンターで、左の写真の一番奥の部分)。

日本で予め事前手続きとして、インターネットでクレジットカードを登録しバーコードを印刷してあったので、チェックインはあっと言う間に終わり、乗船中ID兼クレジットカードになる「Sea Pass Card」が渡されました。
「To Ship」というサインをフォローしてエスカレーターで上の階に行くと、カナダの出国審査ではなく、アメリカの入国審査がありました。 アメリカではない国にいるのにアメリカに入国したことになるのは私は初めてでしたが、夫によるとカナダ−アメリカ間ではよくあるシステムだそうです。入国カードの便名の所には「SEA」、滞在先は「MERCURY」滞在都市「ALASKA」と予めスタンプが押してありました。
6Fのプロムナードデッキから乗船し、まずはシャンパンが振舞われました。

ハワイの「プライド・オブ・アメリカ」の時は部屋の清掃に時間がかかるのか、乗船してもすぐに部屋に入ることが出来ませんでしたが、本船では待ちはないようです。期待をこめて予約したキャビン「1061」に向かいます。

セレブリティ・クルーズのホームページにあった写真で見るよりずっと広い感じの部屋で、インテリアはモダンで洒落ています。ベッドはキングサイズのダブルです。テーブルにフルーツとウェルカムシャンパン(スパークリング・ワイン)が置いてあり、いきなりテンションが沸点に達してしまいました。
収納も十分あり、これは短期航海が前提の「スーパースター・ヴァーゴ」と異なるところです。バルコニーも部屋のスパンが大きい分広くて余裕があります。このぐらいの部屋なら世界一周してもいいな、とは夫の感想です。
洗面まわりもなんだか高級感に溢れていて、バスタブにはジャグージーまで付いています。

早速スパークリングワインで乾杯していると、スイート客室付きのバトラー(執事)Herman(ハーマン)と客室係員Carlos(カルロス)が入れ替わりに挨拶にやって来ました。フルーツの差し替え、ティータイムのワゴンサービス、それから夕刻にカナッペを毎日お持ちします、とのことでした。本船のダイニングは固定制(航海中通しでテーブルが決まっている)なので、テーブル番号は何番、と書いた紙が置いてありましたが、ずっと英語をしゃべるのは面倒なので、ハーマンにダイニングの席は可能であれば二人席に変更してほしい、とリクエストしておきました。
乗船前に預けた荷物が二つとも到着するのを待って14時頃遅い昼を11F「パームスプリングス・カフェ&グリル」(ビュッフェ)に食べに行きました。起きてからホテル近くのスタンレーパークを12kmも走った上に、ターミナルの客船群を撮影していたら時間がなくなってしまい、朝から部屋のコーヒーを飲んだだけだったのでした。私達のキャビンは船の中央エレベーター近くにあるため、階段を上がるとすぐプールやグリルがあってとても便利です。
グリル前にはドリンクコーナーがあり、無料かと一瞬期待しましたが、違いました。

ビタミン補給にサラダと、グリルコーナーのハンバーガーをシェアすることにしました。

本船の行事は船内誌「Celebrity Today ! 」に案内がありますが、それによると避難訓練は出港前の16時15分からあるようです。キャビンのドアに書いてある避難先は何と7F「フォーチュンズ・カジノ」とありました。いずれにせよそれまでまだちょっと時間があるので、船内探検に出発しました。右舷側のターミナル越しに見えるコンテナヤードでは、商船三井(MOL)のコンテナ船が荷役をしていました。

混雑する前にと部屋のライフジャケットを着込み、16時過ぎに夫と二人集合場所である「フォーチュンズ・カジノ」に行きました。入口で部屋番号を聞かれたので「1061で2名」、と答えました。早めだったのでまだそれ程人は集まっておらず、適当にスロットマシーンの前の椅子に座りました。15分ちょうどに例の緊急非難の汽笛(単音7回、長音1回)が鳴って、全員が揃ったあと、ここで終わりかと思ったら今度は係員に誘導されるままゾロゾロと階段を降り、6F「プロムナード・デッキ」の救命ボートのある所に整列しました。なかなか真面目な訓練でした。
部屋に戻るとバトラーのハーマンが届けてくれたのか、カナッペが置いてありました。これはスイート船室以上の特権で、思わず飲みかけのスパークリングワインをまた飲んでしまいました。
16時45頃、まずHALの「フォーレンダム」が出港しました。北航でグレイシャーベイ、カレッジフィヨルドを経て一週間かけてスワードに向かいます。
本船は予定通り17時に出港しました。先ほどまで商船三井のコンテナ船がいたヤードには川崎汽船の「Chiswick Bridge」(全長285m、幅40m、5,610個積み)が着岸していました。幅40mはパナマ運河を通れない「オーバーパナマックス」サイズです。

本船は入船右舷着岸していましたが、すぐ後ろに日本郵船のばら積み船「KOHO」がいて邪魔そうでした。後進離岸して「KOHO」にかなり近寄った後、時計回りに約90度向きを変え、ライオンズゲート・ブリッジに向かって進み始めました。本船がいた桟橋の向かい側には第一中央汽船のばら積み船「PEONY」が荷役をしていました。港は船が沢山いて毎度のことながらワクワクしてしまいます。

「KOHO」は全長290m、全幅45m、喫水は18mもあるケープサイズバルカーです。一年前の夏に「にっぽん丸」の「秋の横浜ウィークエンドクルーズ」で三宅島に向かう折に見た「OCEAN COMPASS」と同じサイズです。一方「PEONYは」全長170m、幅27mのスモールハンディーです。
17時半頃、本船が丁度カナダ・プレイスを通り過ぎるタイミングで、最後にNCLの「ノーウェジアン・サン」が出港しました。

ライオンズゲート・ブリッジはダウンタウンとノース・バンクーバーを結ぶ1938年に開通した1,500mの吊橋で、60m以上のクリアランスがあり流石に高い所に橋桁がありました。橋の上ではクルーズ船が通るのを何人かが見物していました。

橋をくぐると左手に新和海運の「SHIN-ZUI」が投錨していました。ロバーツバンクでの積荷待ちであろうとのことで、全長289m、幅45mのこれもケープサイズです。
と撮影に夢中になっているといつの間にか18時近くになっており、ドレスコードはカジュアルでしたが慌てて部屋に戻って履いていた半ズボンを履き替えてディナーに行きました。本船はメインシーティングが18時、セカンドが20時半になっています。特に指定しませんでしたが、スイート以上は自動的にメインの18時になっているようでした。

メインダイニングである5F・6F「マンハッタン・レストラン」に行くと乗客の行列が出来ており、中ではウェイターも列をなしていて、席番号が書かれた紙を見せると順番に流れる様に誘導されました。私達は5Fの入口近くではありましたが、ちゃんと二人席が用意されていました。

出港直後の船長のアナウンスで、本船は橋をくぐった後一旦行き足を止めて、1時間かけてコンパス調整すると言っていましたが、これが丁度食事時にあたり、あたかも展望レストランにいるかのごとく、景色が回っていきました。止まってすぐに「ノーウェジアン・サン」が抜かして行きましたが、客船が客船に抜かされるなんてあまり経験出来ないかもしれません。

私達のテーブルについたウェイターはインドネシア人のSudarno(スダルノ)で、すぐにファーストネームを聞かれました。メニューは日替わりのアラカルトと、その中からシェフが選んだ組み合わせの「エグゼクティブシェフのお薦めコース」、それから航海中ずっと食べることの出来る「人気の伝統ディナー」から選択します。★がシェフのお薦めに入っていたメニューです。

Appetizers

  • Mille Feuille of Wild Mashrooms, White Wine Cream Sauce★


  • Duck Confit Torchon, Lingonberry Emulsion
Soups

  • Oven Roasted Tomato and Garlic Soup, Goat Cheese Crostini★


  • Japanese Vegetable Consommé, Shiitake Mushrooms and Noodles
Salads

  • Lettuce, Daikon Radish, Red Bell Pepper, Toasted Peanuts, Pickled Ginger and Cilantro★


  • Classic Caesar Romaine Lettuce, Parmesan Cheese and Garlic Croutons
Entrées

  • HERB CRUSTED SOUTHERN AFRICAN WHITE FISH★
    Quinoa, Ratatouille Vinaigrette


  • ROAST PRIME RIB OF BEEF
    Twice Baked Potato, Vegetable Medley and Yorkshire Pudding
Desserts

  • No Sugar Added Apple-Blueberry Crêpes


  • Classic Profiterole, Vanilla Ice Cream and Bittersweet Chocolate Sauce
「セレブリティは美味しい」という評判ではありましたが、あまり過度の期待を持たずにいたところ、いい意味で期待を裏切ってくれました。やはりヨーロッパ(ギリシャ)の流れをくむ船なので一味違うのでしょうか。バターも美味しく、これは翌日以降も楽しみです。私の食べた右の列のメインはは肉好き派も唸る正統派ローストビーフで、ホースラディッシュ(西洋わさび)の辛さも十分でした。
食事は20時前に終わり、プロムナードデッキを少し歩いて部屋に戻ると、ベッドカバーが途中まではずしてたたんであってお休み前のチョコレートが置いてありました。外国船に乗っているんだなぁと実感します。外の明るさはまだ東京の17時ぐらいの感じです。

フネは左に見えるバンクーバー島と北米大陸の間の狭い水路を通っているので、ほとんど波がなく、まるで湖の上を走っているみたいでした。20時半頃、BC(British Columbia)フェリーが行き交うのが見えましたが、夫は早々に爆睡してしまいました。

本日の日没は21時14分と船内新聞に書いてありましたが、22時過ぎに漸く暗くなってきました。月の綺麗な夜でした。疲れたので夜のアクティビティはすべてパスしてしまいました。