商船三井フェリー さんふらわあ さっぽろ 大洗〜苫小牧乗船記 (2009年7月11日〜7月12日)

<往路> <復路>

大洗 18時30分発→苫小牧 13時30分着
新型インフルエンザ騒動があったこともあり、2009年の夏休みは国内旅行になりました。国内と言えば、従前から暖めていた自家用車と共に北海道、移動手段としてフェリーを使う企画がありました。2007年に初めて豪華フェリーと呼ばれる太平洋フェリーの「きそ」に乗船して以来、四国開発フェリーの「おれんじ8」(2008年2月)や名門大洋フェリー「きょうと2」(2009年11月)に乗船する機会を作って来ましたが、首都圏と北海道を結ぶ「さんふらわあ」と、2007年に小樽で見かけた新日本海フェリーは是非乗ってみたいと思っていたのでした。

写真は2007年4月の「きそ」2日目(11時45分頃)に行き交った大洗に向かう「さんふらわあ さっぽろ」
特に新日本海フェリーは、グレードが「特等A」か「スイート」であれば何とバルコニーまで付いているのです。また、一般のカフェテリアレストラン以外に「グリル」があって、コースランチや会席のディナーを食べることも出来て(4月〜10月の間のみ)、客船のようなサービスを受けられるようです。

写真は2007年9月「にっぽん丸」でサハリンから小樽帰港時に見えた「らいらっく」
新日本海フェリーの航路はいくつかあって、舞鶴〜小樽間に一番いい船を投入しているようですが、わざわざ舞鶴まで行って乗船するのは流石に難しいことから、新潟〜小樽航路を検討することにしました。

2007年9月「にっぽん丸」でサハリンに行く朝、前泊した小樽のホテルから見えた新潟に向け出港する「らいらっく」

また、この新日本海フェリーには企画割引があって、7月23日まで(A期間内)の金・土以外の出発で、男女ペアの年齢合計が88歳以上であれば運賃が30%オフになるので、これを使わない手はありません。土曜日に出発したいので、行き7月11日(土)に商船三井フェリー、帰り7月16日(木)に新日本海フェリーを利用する計画を立てることにしました。夫がその気にならず予約が遅くなり、新日本海フェリーはまだ空きのあったスイートを取れたものの、商船三井フェリーはキャンセル待ちとなりましたが、キャンセル待ちを入れてから10日後、出発の2週間前に無事部屋を確保することが出来ました。

北海道への往路は18時半の夕方便と1時45分発の深夜便がありますが、深夜便は貨物輸送を意識した昔ながらのファシリティーなのに対し、夕方便はフェリークルーズと呼ぶに相応しい施設の配船となっています。「トイレと出来ればバスは部屋に」という基準だと「デラックス」又は「スイート」になりますが、1室しかない「スイート」は最初から諦めて「デラックス」の洋室を予約したのでした。

乗船日7月11日(土)7月16日(木)
区間往路復路
大洗〜苫小牧小樽〜新潟
船名商船三井フェリー新日本海フェリー
さんふらわあ さっぽろゆうかり
利用客室デラックス 104スイート 003 "Granda"
1名料金\21,500-\34,500-※
運転者料金\13,000-\28,500-※
乗用車料金\26,000-\20,000-
料金合計\60,500-\83,000-
適用割引JAF割引(10%)ペア88(30%)
割引後料金\54,450-\58,100-
レストラン朝食バイキング\1,000
昼食カレーバイキング\800
夕食バイキング\1,800
2食セット券2,300あり
昼食セットメニュー\600〜\1,000
夕食カフェテリア\300〜\1,000
備考スイートは1室のみで\35,000※グリルでのランチ(\2,500)、
ディナー(\5,250)料金を含む
特等料金は\19,800で食事は含まず

14時半頃家を出発し、首都高向島線、常磐道を経て友部JCTで北関東道を通り、大洗のフェリーターミナルには16時過ぎに到着しました。
今まで数回フェリーを利用しましたが、車も一緒なのは初めてです。乗船する車の列に一旦車をとめてターミナルビルに乗船手続きに向かいました。間近で見る「さんふらわあ さっぽろ」は200m近くあるので堂々のボリューム感です。この時間帯は本船と「さんふらわあ ふらの」が配船されています。「ふらの」が1993年出来なのに対し、「さっぽろ」は98年なので新しい分ちょっと得した気分です。
予約と決済はインターネットで済ませていたので、窓口で予約番号を伝えました。JAF会員の10%割引を利用していたので、会員証の提示を求められました。この割引はA期間と呼ばれる7月16日までの運賃にしか適用されないのでラッキーでした。
乗船受付を済ませ、クルマに行き先表示票を置きに行きました。出港時刻までまだ2時間近くありましたが、夫は運転席でスタンバイすると言うので、私は一人でターミナルに戻りました。同乗者は徒歩で乗船しなくてはならないからです。
17時20分頃、クルマが船尾から乗り込んだのを確認し、私も長い通路を通って初「さんふらわあ さっぽろ」に乗り込みました。
夫は4Fの車両甲板に駐車したあと、案内所であっと言う間にチェックイン手続きを済ませたようで、私がなかなか乗船して来ないとちょっとムッとしていたようです。「いやー、クルマが乗り込む所を撮影しようと頑張ってたから」と言い訳しつつ、二人で再車両甲板に下りて必要な荷物をすべて取り出しました。一旦出港してしまうと、車両甲板は立ち入り禁止になるからです。
再び乗船口や案内所のあるCデッキにエスカレーターで戻り、そこからは階段で私達の予約したデラックスルームのあるBデッキ(第6甲板)に上りました。デラックスルームは洋室16室、和室4室のラインアップです。和室に興味はありましたが、競争率が高そうなので私達は洋室にしていました。和室4室同様右舷の部屋でした。

浴衣と手ぬぐいが嬉しいユニットバス。思ったより広いトイレはウォッシュレット付

荷物を置いて、船内探検にでかけました。レストランでは18時から既にサービスが始まっていましたが、私達は出港の儀があるのでもうちょっと後で行くことにします。デッキ(Aデッキ、第7甲板)に出て大洗フェリーターミナルの全容をチェックしました。
本船はフェリーにしては乗客が自由に動き回れるデッキが広いと思いました。ファンネル前の広場の外板には、記念撮影用に「さんふらわあ さっぽろ」とロゴマークが描かれていました。
18時近くなったのでお待ちかねのビアタイムにすることにしました。フェリーは船内に自動販売機があってビールもつまみもリーズナブルに手に入ります。北海道限定のサッポロクラシックと黒ラベルを買って、デッキのベンチで乾杯しました。

積み込みが順調だったのか、定刻の18時半より数分早く出港しました。毎度思いますが、フェリーは狭いところから出て行く感じがします。

フェリーターミナルの反対側には海上自衛隊の訓練支援鑑てんりゅうATS-4203が停泊していました。国際観艦式(2002年10月)以来の再会でした。後方にはオレンジ色の航空機のデコイが見えました。

本日の水戸の日没は18時58分、ビール片手にしばらく夕暮れの風景を楽しみました。本船は港を出て左に舵を切り苫小牧を目指します。

僚船「さんふらわあ しれとこ」とは19時ちょっと前に行き交いました。遠くからあっと言う間に近づいて来てすれ違いました。夜中の1時半に苫小牧を出発し、19時45分に大洗に到着予定です。僚船との行き交いは定期船ならではのハイライトなのですが、見ている人はごく少数でした。


明るいうちはずっとデッキにいても良いぐらいですが、レストランの営業が19時半までなので、そろそろ夕食に行くことにしました。部屋のテレビモニターでGPS図を見ることが出来るのですが、船速は21ノットも出ていました。流石フェリーです。
レストランは夕食バイキングが1,800円、朝食バイキングが1,000円ですが、この2食(またはどちらか1食と800円の昼食)で2,300円のセット券というのがあることはネットでチェック済みです。500円もお得なので、夕食券を買おうとする夫を制し、得意気にセット券を買い求めました。

そして本船のメニューは先ほどターミナルで入手済みです。
2009夏さんふらわあ さっぽろのレストラン案内(pdf 530KB)
既にビールは飲んでいたので、夕食時は十勝ワインの白を頼むことにしました。旅の始まりなので控えめに、二人でハーフボトルです。

フェリーのバイキングはバラエティー豊かです。どういう風に攻めるか考え所ですが、夏メニューの「北海道コロッケ」と「色どり野菜とカッペリーニのサラダ」は外せません。

外せなかったものとハンバーグ他ローストビーフと酢豚と麻婆豆腐彩彩ちらし寿司と味噌汁

この値段でこのバリエーションは素晴らしいと思います。エビフライに酢豚という組み合わせは客船ではなかなか味わえないものです。

最後はコーヒーと一緒に「さんふらわあオリジナルプチケーキ」を食べました。この「さんふらわあ」マークが可愛らしいです。

22時ちょっと前にデッキに出てみましたが、誰もいませんでした。デッキは広いのですが、客船と違い座るところがあまりありません。
乗船のアンケートに答えると、オリジナルクオカードをもらえると言うので、真面目に取り組みました。フェリーに乗船すると毎度感じるのですが、クルーのサービス精神が素晴らしいと思います。
寝る前の23時半に見た本船の位置です。22ノット宮城県沖を航行していました。
朝は8時過ぎに起きると、霞のかかった太平洋が広がっていました。
GPSの地図をチェックしたら、下北半島の付け根に近い部分で、ぐっと陸から離れて真っ直ぐ苫小牧を目指しているところでした。
朝食は9時までなので、あまりのんびりもしていられません。8時半頃レストランに行くと、ピークは過ぎたようでした。満船なので人は多いのですが、こうしてピークを外したり、大浴場に行かなかったからか「混んでいて大変」な感じは全くありませんでした。

キャベツのソテーで野菜たっぷり、大根おろしや納豆で身体のバランスを整えました。左が夫の作品、右が私ですがやはり料理は盛り付けも結構大事なのではないかと思います。

食事を終え、そのままデッキに出てしばらくぼんやりと引き波を眺めていました。フェリーはその無骨なデザインから、何となく四角い箱がそのまま動いているような感じがします。
これはデッキを1つ下りた船尾部分ですが、左に見えるランプウェイを引き上げるために必要でしょうし、働くフネなので機能優先なのはしょうがありませんが、このスペースはちょっともったいない感じです。
11時半頃、下北半島の先端と苫小牧のちょうど中間ぐらいに差し掛かりました。今回は津軽海峡の出口の辺りの揺れは特に気になりませんでした。
川崎近海汽船の「フェリーはちのへ」と行き交いました。苫小牧を9時15分に出港し、八戸には18時15分到着予定です。
ランチタイム(12時から13時の間)はカレービュッフェで800円です。「チキン」「ビーフ」「野菜」「甘口」を食べることが出来るそうで、レストランの係の人の許可を得て撮影しました。私達は昨日の午後から何も運動をしていないので、休日の恒例により昼食はスキップしたのでした。

今なら誰もいないだろうと、大浴場に見学に行きました。広々としていますが、本船はツアー客が乗っている分通常のフェリーより女性比率が高いので、ピーク時は大混雑だったかもしれません。乗船時から夜は22時まで、翌日は朝6時半から下船時まで利用可能と書いてありました。

13時過ぎ、係員の人たちが着岸準備のため1つ下の船尾デッキに下りて行きました。外はいつの間にか霧が出ています。
防波堤の中に入ると川崎汽船の「PAN PAC SPIRIT」が停泊していました。中央部にガントリークレーンのある普段あまり見かけないタイプのばら積み船です。
フジトランスコーポレーションのRORO「ふがく丸」。名古屋/仙台/苫小牧/八戸の定期航路に就航しているようです。この会社のフネは国内で何度か見かけました。それにしても濃い霧です。
そして二年前の春以来となる苫小牧のフェリーターミナルには太平洋フェリーの「いしかり」が先着していました。北海道に来ると、TVコマーシャルで女性の高い声の「たいへ〜いよ〜う〜フェ〜〜リ〜」を聴くことが出来ます。これは一旦脳に刻まれるとしばらくの間リフレインし続けるすぐれたコマーシャルメロディーだと思います。
本船は「いしかり」の前に背を向ける形で右舷着岸するべく、反時計周りにぐるりと回りました。
トレーラーの向こうにもフェリーらしきものが見えましたが、これは川崎近海汽船のRORO船「げんかい」でした。東京と苫小牧を30時間で結んでいます。
着岸と同時にエントランスホールは早く降りたい人たちの列が出来ました。私達はギリギリまで残っていたい方ですが、今回は車があるため案内があったらすぐに車両甲板まで行かなくてはなりません。
13時40分ぐらいに部屋を出ました。通りすがりに既に引き払った特等和室があったので、ちょっと中に入って見てみました。この部屋の手前にトイレとお風呂のスペースがありました。小さい旅館の部屋のようで、いつかは利用してみたいものです。

無事定位置に留まってました10分程待って「いしかり」に向かって下船

乗船時はドライバーだけですが、下船時は同乗者も一緒です。19時間過ごした「さんふらわあ さっぽろ」に別れと告げ、車は次の目的地である十勝川温泉を目指しました。
ちなみに、本船オリジナルグッズとしてはろうきてぃストラップ、ネックストラップ、キャップ、メモ帳、ふねの本を大人買いしてしまいました。