ぱしふぃっくびいなす 秋の屋久島・奄美大島クルーズ乗船記 (2009年9月23日)

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6日目 横浜(奄美大島から736マイル) 入港14時
朝トイレに行きたくなり、一旦7時前に起きてGPSをチェックすると本船は既に遠州灘を過ぎて伊豆半島に差し掛かっていました。
次に起きた7時40分には神子元島(みこもとじま)灯台が遠くに見えました。この灯台は1871年に建造され、石造りの灯台としては日本最古だそうです。また、関東から西に向かう船舶が必ず目標とする灯台です。

本船はこのあたりで針路を北東に取りました。反対側右舷には伊豆諸島の利島、鵜渡根島(無人島)、新島、式根島が見えていました。


8時頃食事に行くことにしました。メインダイニングに行く時に必ず7Fのこのエレベーターと階段のある場所を通るのですが、何度通っても夫が「ここはファリーっぽいよなぁ」と呟きます。そう言えば夫が過日「このフネは新日本海フェリーに造りが似てますね」とホテル部門のマネージャーと思われる人に話しかけた所「そうなんですよね、デザイナーが同じですから」とのことでした。
最終日なので、今日は卵コーナーで何かを作ってもらうことにしました。折角作ってもらうのだから、何か凝ったものがいい気もするのですが、どうしても目玉焼きかプレーンオムレツを注文していまいます。迷った挙句、結局プレーンオムレツにしました。
と、言うことで和食を注文した上でビュッフェの足し野菜とオムレツの朝食となりました。コーヒーカップの右においてあるのが「注文しないと持って来てくれない納豆」です。
食事の後は、本船で今まで行っていないところを見に行くことにしました。ここはジムの所にあるエレベーターからしか行けない12Fトップラウンジ「サテライト」です。ファンネルの所にあり、プールサイドが目の前に広がっています。
同じレベルにある「サンデッキ」は外国船と規模が異なるため走ることは出来ませんが、なかなかの眺めでした。
先ほどから商船三井フェリーの「さんふらわあ とうきょう」が同行しています。博多から東京向けの便で、以前「おれんじ8」に乗船した時にも見かけました。

最後に10F「スポーツデッキ」もやっぱり何だか似ている気がするということで「新日本海フェリー(ゆうかり)との類似点そのI」かもしれません。

左が本船「ぱしふぃっ くびいなす」
右が新日本海フェリー「ゆうかり」

9時10分過ぎ、伊豆大島に差し掛かりました。いまさらですが、奄美大島といい、7月に「ゆうかり」から見た渡島大島といい、人は大きな島に「大島」と名づけるのだなぁと納得しました。
10時からはビンゴ大会でした。毎度前のめりになって参加していますが、あまりビンゴ運は良くありません。と思っていたら最後の方ではありますが珍しく夫にビンゴが出て、メモ帳をゲットしました。
ビンゴが終わる頃、本船は東京湾の入口に差し掛かっていました。そろそろ荷造りをしなければなりません。旅の記録を綴ったパソコンや、充電機器などデジタルギアも撤収です。
11時40分頃、観音崎灯台と東京MARTISです。雲がちょっと多くなって来てしまいました。
お昼ですが、この後は入港ワッチが忙しいため昼食はスキップし、かわりに7Fのオープンバーでエスプレッソを飲むことにしました。ここは眺めも居心地も良いのでとても気に入りました。
ちょうどLNG船「CYGNUS PASSAGE」が反航していきました。サハリンと本邦を結ぶ東京電力向けの新しいフネです。「CYGNUS」とははくちょう座のことなのでなかなか洒落たネーミングです。
商船三井近海の近海水域貨物船「YUUKI」。116m×20mと小柄でした。
12時35分頃、タグボートが近寄って来ました。予定通りハーバーパイロットが乗り移るようです。浦賀のパイロットが乗った時は荷造り中だったのか気づきませんでした。本船の船長は浦賀水道や横浜港での通航実績がまだ規定に足りないようで、こうしてパイロットが乗り込むのでしょう。

自動車専用船です。川崎汽船「BARCELONA」(今造1994年出来)は錨泊、商船三井「SANDERLING ACE」(内海造船2007年出来)は大黒埠頭に接岸していました。この岸壁のすぐ後ろは横浜ベイブリッジです。

いつの間にか横浜港大桟橋(OS)に向かう信号旗が掲揚されていました。第二代表旗、「O」「S」を示しています。

大桟橋の山下公園側Bバースにはレジデンス型客船「THE WORLD」が、新港埠頭側CDバースにはワンナイトクルーズを終えた「飛鳥U」が先着していました。
本船は大桟橋を通り過ぎて新港埠頭に回ります。この角度から大桟橋に停泊している客船を見られることはあまりないのでラッキーです。
船は回さずこのまま着岸するようです。パイロット達に囲まれて操船する船長がなんだかやり辛そうに感じるのは気のせいでしょうか。
後続の「にっぽん丸」が横浜ベイブリッジをくぐりました。「にっぽん丸」は本船と同じ18日(金)に横浜を出港して釧路、室蘭、大船渡と寄港し「THE WORLD」より奥のAバースに着岸予定です。

事前に早着する旨アナウンスがありましたが、その通り予定より30分早く着岸しました。これは本船のせいではありませんが、新港埠頭は倉庫っぽくてフェリー埠頭を彷彿とさせるものでした。

下船案内も割と早くにあり、5Fのエントランスロビーで盛大に見送られて下船しました。とても居心地のいいフネでした。

新港埠頭からは横浜駅に行くバスのほかに大桟橋に行くバスも用意されていたので、それでクルマの所に戻ることが出来ました。
大桟橋では滅多にない客船3バイの揃い踏みです。乗下船客はもちろん、見物客で賑わっているようでした。私達も一旦車に荷物を置いてから見に行くことにしました。バスを降りた所で「にっぽん丸」の顔見知りのクルーがいたので「別のフネに乗って来ちゃいました。あっちも良かったですよ〜。アハハ」と声をかけました。
飛鳥Uは流石に風格があります。この日横浜港に揃った客船のうち最大の241m、約50,000トンを誇りますが、世界の中では中型船の部類になってしまいました。

「THE WORLD」はその客室が分譲されていて、スタジオタイプ8,000万円からスイートの8億円までとてつもないお金持ちが住んでいる筈です。フネ自体は2002年出来で、長さ196m、総トン数は43,188トンだそうです。死ぬ気で所有してみたとしても一体日々どの位のコストがかかるのでしょうか…。
「THE WORLD」と「にっぽん丸」は背中合わせでした。「にっぽん丸」は166mとこの中で一番小さいのですが、風格があり思ったより見劣りしていませんでした。この秋から数ヶ月間の大改装を控えています。

そして少し離れた新港埠頭にはわが「ぱしふぃっく びいなす」のファンネルが見えていました。居心地の良いパブリックスペースが多く、クルーがとてもフレンドリーな、船らしい船でした。【2011年1月記】