92日目 7月3日(日) ハワイ島ヒロ 入港9時10分 出港19時 日出5:42 日没19:04
寄港地情報入国審査言語英語通貨港の位置ツアー発時シャトルバス
-英語-米ドル中心部から約4km10:50〜モオヘアウ・バスターミナル
航海情報天候気温正午位置風向風速船の揺れジョギングデッキマシン陸上合計デッキ累計距離累計
晴れ27.4℃19-44N 155-03W北東6m/s- --8km8km750周519km
船内情報講演等イベントメインショードレスコード食事情報ランチ(6F)ランチ(11F)ディナー備考
-ボン・ヴォヤージロイ佐久間ウクレレライブカジュアル牡蠣フライ洋食和食-
7時半頃、航海日には8時に入る船長のアナウンスが早めに入り、ハワイ島のマウナ・ケア山(Mauna Kea)が見えてると案内がありました。
早速夫が11Fオモテに入港ワッチに出かけ、私の方はヒロに入港したらすぐジョギングに出ると言われていたので化粧を割愛して素顔のまま遅れてジョインしました。4,000mを超すマウナ・ケアが綺麗に見えており、その中腹ぐらいに雲をまとっています。
ヒロは2007年に「プライド・オブ・アメリカ」で訪れており、またハワイ島自体にはそれ以前にも一度来ているのでとても懐かしいものがあります。標高4,205mの山の頂上付近には各国の天体観測所群も良く見えていて、この中には国立天文台のすばる望遠鏡もあります。
7時50分頃パイロットが乗船し、まっすぐ港を目指すのかと思ったら15分ぐらいノロノロと動きませんでした。エンジン不調とのことでしたが、復調したので港に向かうとのことでした。

9時頃フネが回り始めました。長い方の岸壁に右舷出船着岸する模様です。ウィング上の指定席に陣取って、アロハシャツのパイロットと浅井船長、小久江副船長の操船を見守ります。

早朝の段階では予定より1時間早い9時到着見込みと言っていたのですが、エンジントラブルの影響で結局9時20分に着岸しました。と着岸を待っていたかのようにパラパラと小雨が降りだしました。流石年間降雨日数270日を誇るヒロです。

この白いコンテナ「Matson(マトソン)」を見るとアメリカに属する南国の島(ハワイやグアムなど)に来たことを実感します。マトソンはハワイに本社を置く海運会社で、元々は本土とハワイ間に客船も運航し、そのサービスの延長でロイヤル・ハワイアン(ホテル)も建設したそうです。
サンフランシスコを出港してから丸々4日間航走しました。この間どんどん気温が高くなり、本船内はハワイアンミュージックに溢れていて楽しい雰囲気だったのですが、このハワイに着いてしまうとあとは日本に帰るだけ、と一抹の寂しさが湧いてきます。
しっかり入港を最後まで見守ったので9時半までのリド・カフェは営業を終了してしまいました。朝食はこの時間唯一開いている6Fの「ザ・ビストロ」に行きました。このあと夫は朝一で上陸して走ると張り切っていたため、炭水化物を中心にしっかり食べることにします。小さいパン2つでは足りず、大きめの物を追加で取りました。
数日前、船上で午後からの半日ツアーの予約を入れていたので、昼には戻る必要があったため、上陸可能になったのを見計らい11時10分前に下船しました。がその少し前、毎度毎度上陸して走ることが突然イヤになり、「行った方が良ければ行く」と言ったところ夫は高慢な態度と捉えたらしく「何だその態度は」とひと悶着ありました。3ヶ月ものクルーズ期間には何回かこういうことが起こるのですが、やはり「悪くなくてもごめんなさい」と「忍の一字」が事態収拾のカギとなります。
あまりのことに胃が痛くなってしまい、走り始めは辛いものがありました。特にあてがありませんが、ヒロ市街方面を目指します。快晴とは言えず時々小雨がパラつきますが、26℃とサンフランシスコより10℃くらい高い気温には、雨粒がかえって気持ち良い感じです。
ローカルの子供達が気持ち良さそうに水浴びしていました。

10分程走るとヒロまで1マイル(約1.6km)の看板がありました。このあたりで道路の反対側を同じ方向に歩いていた気功の先生から「お〜い!!」と声をかけられました。寄港地で沢山歩いている気功の先生とは、こんな感じに時々遭遇したので覚えてくれたようです。

そこからまた少し走ると右側が海岸となり、絶景ジョギングコースとなりました。撮影のためしばし立ち止まって夫に遅れをとるため、明らかに夫は不機嫌そうです。が、乗船記作成のため撮影だけは譲れません。
11時20分くらいにヒロのダウンタウンに入りました。今日は日曜日なのと、翌日は独立記念日で連休のためあまり店がオープンしておらず、どちらかと言うと閑散とした感じでした。出発前の”ひと悶着”ですっかり忘れていたのですが、このあと買物のチャンスはないため、寄港地マグネット購入用に現金を10ドルぐらい持って来なくちゃいけませんでした。

ヒロはホノルルに次ぐハワイ第二の町で、日系移民との関わりも深く20世紀前半に建てられた建物が沢山残っています(左の建物は1910年築)。今朝も雨が降っていましたが、年間降水量の多いことではアラスカのケチカンとヤクタットに次いで全米第3位なのだそうです。

「BON DANCE(盆踊り)」と書いてある建物は本願寺のヒロ別院でした。ハワイの本願寺は龍谷山本願寺(西本願寺)を総本山とし、ハワイ5島に37の寺があるそうです。

教会のような建物の左側には地味に親鸞上人が写っていました。

帰りは海沿いより一本中の道を通り、ワイロア州立公園(Wailoa River State Park)に入りました。
ここには世界で4つあるうち、一番大きなカメハメハ大王(King Kamehameha)の像があります。撮影スポットなので、ツアーで寄る人が多いみたいです。
それからハワイと言えばこのモンキーポッドの木で、公園内に何本かありました。日立グループのCMで有名になった木ですが、撮影に使った木はオアフ島のホノルル空港の近くにあります。
もう一つ熱帯らしい派手な花木がありました。火焔木(カエンボク)と言うらしく、熱帯では一年中花をつけているようでした。それにしても雨の多いヒロとは思えない晴天になりました。
12時10分前になったので、そろそろ真面目に戻ることにします。ツアーの集合時刻まであまり時間がありませんが、久々の暑さに足があまり動いてくれません。この日の最高気温は意外と涼しい26℃ぐらいだったと思いますが、日差しにクラクラしてしまいます。
公園からは15分ぐらいで港に到着し、フネを出てから1時間20分のヒロジョギング観光を終了しました。あのフネの中はヒンヤリと気持ちよく冷えている筈です。
ツアー集合は1時間後の13時10分だったので、シャワーをして顔を作る時間ぐらいしかありません。一方夫は11Fのリド・カフェに食べに行って来るからバナナ取って来てやる、と言ったので期待して身支度していると「あ、忘れた」。悪気ないにせよかなり酷い仕打ちです。
ところで、買いそびれている「寄港地マグネット」ですが、ツアーの内容は滝めぐりでみやげ物屋はなさそうだし、唯一訪れるビッグアイランドクッキーカンパニーもあまり期待出来ません。そこで窮余の一策を案じ、関西から乗船している顔見知りが午後はタクシーを使って島内観光をすると言っていたので、13時頃舷門で見張ってヒロ、とかハワイ島と書いてあるマグネットがあれば買って来て欲しいと依頼することに成功しました。
ツアーのガイドさんはハワイでは毎度おなじみの日系人の女性でした。よどみなく色々なことを玉石混淆でしゃべってくれるが面白いです。
バスは先ほどジョギングした国道19号線を走り、ヒロの町を通り過ぎました。かつてはハワイの主要産業であったサトウキビ栽培の名残なのか、サトウキビが見えました。ハワイ島にはもう1つ客船が寄る場所として西岸の観光地コナ(Kona)があるのですが、岸壁はなく通船による上陸なのに対し、何故ヒロは立派な岸壁や倉庫があるのかと不思議だったのですが、サトウキビの積み出しのためだったのでした。
ヒロから北に20kmの所にホノム(Honomu)という小さな町がありました。この町には真言宗のお寺(遍照寺)がありました。
その隣は「イシゴ・ベイカリー」という日系のパン屋だった建物で、今は手作りパンやジャムで有名なミスター・エズ・ベイカリー(Mr Ed's Bakery)が営業しています。サトウキビ栽培で移民した移民した日系人達がこの町に多く暮らしていたそうです。

ホノムから10分程の13時50分にアカカ滝の入口に到着しました。ローカルな滝を想像していましたが、州立公園と書いてあります。

脇にゼンマイやワラビが自生する遊歩道を5分程進むと思ったよりも立派な滝が出現しました。高さは126mもあるそうです。

一行は5分程滞在したあと、またジャングルの遊歩道を引き返しました。駐車場近くにコーヒーの木がありました。
次にバスは2つめの滝、レインボー滝に向かいます。再びヒロに向かう車窓から右舷付けする本船「飛鳥U」が小さく見えました。ものすごく遠いのですが順光でいい感じです。
ヒロから山側に5分程走ったところに本日2つめの滝、レインボー滝がありました。先ほどのアカカ滝より大分小振りです。

ただ、ガイドさんによるとこの滝で虹が見えるのは午前11時頃とのことでした。ツアー概要には「虹は自然現象により見えないことがある」とあったのですが、太陽の方向(時刻)によって見えないのであれば「午後出発の当ツアーでは見えません」が正しい説明ではないでしょうか。
滝から一旦駐車場に戻ったあと、裏山のようなところに行って今度は滝を見下ろしました。滝の手前の流れはちょっとグアムのタロフォフォ滝に雰囲気が似ていました。水の濁った感じのせいなのか、熱帯の滝はこんな感じなのかもしれません。
今回のツアーのメインであった「滝めぐり」を終え、バスはビッグ・アイランド・キャンディー・カンパニー(Big Island Candy Company)を目指します。
と、その前にバスは午前中走って通ったワイロア州立公園に寄り、何と大王との撮影タイムがありました。ツアーの説明を読めばちゃんと書いてあったのですが、滝とキャンディーにばかり目が行っていました。ここに寄るとわかっていたら先程(割と)必死に探す必要はありませんでした。
実はビッグ・アイランド・キャンディー・カンパニーに関してほとんど予備知識はなかったのですが、この建物内にある自社工場ですべての製品を作り、しかもハワイ島外では手に入らないとのことでした(2011年7月当時。2013年にホノルルに支店が出来たそうです)。 今回「飛鳥U」で催行されたツアーの中で、この店に立ち寄るのは本ツアーだけでした。
「島外では手に入らない」と聞いてしまうと、買わない訳にはいきません。味見をしたところ、かなり美味しかったので、日本まで荷物の重量制限のない気楽さもあり、おみやげ用を含めまとめ買いをしました。
長いクルーズは自分用を含めみやげ品を買うタイミングが結構難しいと思います。唯一買っておけば良かったと悔いが残るのはバハマ名物のラムケーキです。
ここでは約40分買物タイムがあったため、思い通り買うことが出来たのですが、買物嫌いの夫は10分ぐらいで飽きてしまい、外で観光バスのドライバーと談笑していました。ところでここには元横綱曙と、ご長寿姉妹で有名だったきんさん、ぎんさんの手形が入口に飾ってありました。

16時半にバスは出発し、ちょっと時間に余裕があったのか真っ直ぐフネに戻らず、港の手前の左側にあるリリウオカラニ公園(Liliuokalani Park and Gardens)に寄りました。日系移民のために1900年代前半に作られたそうで、太鼓橋や茶室、鳥居までありました。

リリウオカラニ公園は船内でもらった案内地図に載ってはいたのですが、特段説明が書いてなかったのでスルーしてしまいましたが、ジョギングしても面白そうでした。結局17時過ぎに港に戻り、名残惜しく岸壁でノロノロしてからフネには20分頃戻りました。
部屋に戻るなりまずは冷たいビールを喉に流し込みました。夫も私も気温が25℃以上になるとビール促進スイッチが入るようです。
18時45分からのボン・ヴォヤージを見に行くと意外に盛り下がっていたので、急遽乱入することにしました。ところが底の硬い草履でジルバを踊ったため、ある箇所で思いっきり右アキレス腱に力が入ってしまいました。ビリッという痛さです。ルーアンで寒さからちょっと痛め、良くなりかけたのをレイキャビクで写真撮影の際に痛め、大西洋を越えてニューヨークぐらいから気にならなくなっていたのに最後の最後に同じ所をまたやってしまいました。良くなりかけていたからテープや湿布類を買わなかったのが悔やまれます。
フネは予定より少し早く、日が暮れていくヒロ港の岸壁をじわじわと離れ始めました。

ナマナが演奏し、エンターテインメントクルーがアロハシャツやドレスを着て盛り上げています。好天に恵まれた素晴らしいヒロ滞在でした。

19時20分頃、パイロットが左舷から下船しました。手を振ってくれています。
ヒロの町が段々離れていきました。こうして寄港地に別れを告げるのもあとはホノルルを残すのみとなりました。
出港の余韻があり、食事に行ったのは20時になりました。ヒロで仕入れたコナ・ブリューイング・カンパニー(Kona Brewing Company)のロングボード(Longboard)という普通っぽいラガーを飲むことにします。本日のメニューは和食です。
先附
鮪角煮山掛け

造里
ふぐ焼霜造り ふぐ皮 赤卸し ポン酢
焼き物
本鰆雲丹焼き 菊蕪
酢の物
尼子のカレー風味南蛮漬け
玉葱 人参 パプリカ

煮物
牛肉時雨煮 蒟蒻 海老芋 牛蒡
(右の写真が大盛りスペシャルです)
汁物
野菜汁 しめじ茸 白菜 木耳

白御飯

香の物
デザート
桃アイスクリーム

和食でテンポ良く出て来てしまうため、1時間もかからずに終わってしまいました。
21時45分からハワイのウクレレフェスティバルの創始者であるロイ・佐久間氏のコンサートがあるので、それまでフォトショップ等を覗いて時間を潰します。
時間になり、プールデッキで引き波の音を聴きながら、本場のウクレレを聴くという至福のひとときが始まりました。ロイ・佐久間氏はウクレレ奏者のジェイク・シマブクロの師匠でもあるそうです。
でもPR不足なのか満員かと思った観客は空席も目立ち、また意外と風が冷たかったので途中で引き揚げる人もいたのが残念でした。
そんな中、イントロクイズがあり1曲目、2曲目と女性が当て今年のウクレレフェスティバルのTシャツをゲットしていました。
そして忘れた頃に3曲目があり、なんだ「アロハオエ」じゃないか、と言う夫にTシャツが欲しい私は「じゃぁ手を上げ続けて!」とアピールさせ見事正解!そしたら「じゃあ歌いましょう」とロイ佐久間氏に促されて歌い始める夫。スタッフに歌詞を教えてもらいながら臆せずフルコーラス歌い上げました。「Amazing !(凄い!)」と褒められていましたが、ロイ佐久間氏の演奏で歌うとは何とも贅沢な話です。
ということで貰ったTシャツは「41st UKULELE Festival」とウクレレの絵が描いてある、鮮やかなブルーのお洒落なものでした。
船内紙にはコンサート中にキラウエア火山沖を通航すると書いてあったので、待ち切れない人達が中座して12Fデッキに上がって行ったりしていましたが、22時半のコンサート終了後に見に行くとまだ何も見えません。実は昼間のツアーのガイドさんから「今は見えなくなっている」と聞いたのですが、もしかしたら、と思います。
20分ぐらい粘りましたがやはり見える気配がありません。目を凝らすと下の方にある溶岩に照らされた噴煙のような赤いものがうっすらとは見えました。溶岩流は自然現象なので周期的に見えたり見えなかったりを繰り返しており、今回はたまたま見えない周期だったのでした。

見える時であれば、かなり広範囲に渡って赤い溶岩流や、赤く照らされた噴煙が吹き上がる様子を見ることが出来るのに残念です。(写真は2007年3月に「プライド・オブ・アメリカ」号から撮影したもの)

それでもボヤっと赤い火口を見て、サンフランシスコから乗船しているフラダンサーの男性とその師匠がアカペラで踊っていたのが印象的でした。日本ではフラダンスと言うと女性のものというイメージがありますが、男性のフラは力強くて見惚れてしまいます。
気のせいのように微かに暗闇が一部赤くなっているのですが、本船が折角ハワイを通って世界一周をする夏にハッキリ見えないとは残念でした。
と、言うことで皆が楽しみにしていたであろう溶岩見物は不発に終わり、23時にはほぼ誰もいなくなりました。
と、夫が追い風に煽られて進行方向に流れている本船のファンネルからの煙が赤く光っているのに気が付きました。

「もっと近くで見てみよう」と12F「フィットネスセンター」の脇に行くと時折細かい火の粉を吹き上げて中々の迫力です。キラウエア火山は不発でしたが、「飛鳥U」のエンジンは元気です。

今度は火の粉の行方が気になります。誰もいない「リド・カフェ」を通って11Fのトモに向かいました。
すると機関部のフィリピン人クルーと思しき人が見張りをしていました。流石「飛鳥U」、乗船客の安全には万全の注意を払っているのでしょう。火の粉は黒い煤となって容赦なくチーク材のデッキの上に降りかかっていました。ちなみにこの火の粉はボイラーの掃除をする際に吐き出してしまうのだそうで、夫は「キラウエア火山見物の日に掃除して火の粉を吐くなんてチェンジャー(機関長)も粋だな」と喜んでおりました。
再び誰もいない「リド・カフェ」「リド・ガーデン」を通り、23時15分に部屋に戻りました。明日はハワイ諸島を見ながら午後にはホノルルに入港です。