48日目 1月25日(月) 終日航海日 日出4:01日没22:20
航海情報天候気温正午位置風向風速ジョギングデッキマシン陸上合計デッキ累計距離累計
晴れ6.0℃64-48S 063-10W南3m/s23周--10km724周381km
船内情報講演等イベント他船の揺れプール
-ノーアクティビティーデー
(赤いパルカでプールサイドに集合!!)
とりあえず揺れなし水張りなし
ダイニングランチ(6F)ランチ(11F) リド夕食ドレスコードディナーギャラクシーラウンジ(18:00 / 20:00)
長崎ちゃんぽん洋食蟹クリームコロッケセットカジュアル洋食アルゼンチンタンゴショー
目覚ましをかけずに寝ていたら、増山船長の声で目が覚めました。定刻の8時50分かと思いきや「早朝より失礼します」とことわりがあって、時間を見たらまだ7時過ぎでした。
氷の状態が悪くてノイマイヤー水道(Neumayer CHannel、画像の点線部分)に入れないため、パラダイス湾に向かうということでした。もともと南極の地形に明るい訳でなし、ノイマイヤーって誰みたいな状態だったので特にがっかりしませんでしたが、この水道は狭くて両側に迫る山が素晴らしい景観だと(後日判明)いうことでした。
曇り時々雪の予報だったのが、今のところ持ちこたえていて、薄日すらさしています。
日出時刻は4時1分で既に3時間半経っているのに、ついさっき出て来たかのような低い位置に太陽が透けています。
8時過ぎに11Fのリドに行くと、既に大勢の人が南極仕様のパルカで風景を楽しんでいる様子でした。

今日は好物の茄子のトマトソースチーズとチョコデニッシュがあってラッキーです。

更に生ハムと熟成サラミも楽しみ、ここのところ朝のテンションが低い夫が食べ終わるのをじりじり待ちました。
どうも夫は寒い所では元気が出ないみたいです。船尾側の外に出ると青空が広がっていました。折角なので往年の名作おそ松くんのイヤミの「シェー」の恰好をして写真を写してもらいました。
本船は湾の中の様子をうかがうべくドリフトをしています。押し出された棚氷が切り出され、どんどん氷山が生まれています。

【画像はクリックでズーム】
この後劇的に景色が変わることはなさそうなので、一旦引き揚げることにしました。
いつの間にかフネは反転していました。直接見えませんが周囲には航行中の「ハンゼアティック(HANSEATIC)」「ロストラル(L'AUSTRAL)」、停泊している様子の「シルバー・エクスプローラー(SILVER EXPLORER)」「シー・エクスプローラー(SEA EXPLORER)」、少し遠くに「フラム(FRAM)」が表示されていました。
夫はブログを作るにあたり調べものをするため図書室に出掛けたので、一人でパームコートに行きデータを整理しました。昨日も終日航海日ですが見どころが多いため、バカみたいに沢山写真を撮影しています。

作業の区切りでまた外に出て様子をチェックすると、本船のテンダーボートが降りていて、苦労して大きな氷を回収しようとしているのが見えました。3辺が1mの氷の重さは920kg、その1/4(1辺が50cm)としても225kgと大変な重さです。

【右の画像はクリックで拡大】

11Fの船首部分にあるビスタラウンジは、その名の通り「展望ラウンジ」にふさわしい眺めでした。寛いでコーヒーを飲みながら、ゆったりと南極の山々を眺めることが出来る客船の旅は最高だと思います。
夫のPCの電池がなくなっていたのに気付き、電源供給のためPCルームに行き、自分のPCでまたちょっと作業をしました。使った後は充電するように言ってあるのですが、時々忘れていざブログを作ろうとした時に電源が上がらないことがあります。
と、この時間にジョギングするのが後々のことを考えるとベストかもと気付きました。風がなく穏やかで、走ればついでに万遍なく両舷の様子をチェックできます。
カメラを持って7Fデッキに下りると、気温は意外と高い6度もありました。この景色に囲まれて走る贅沢です。
10km23周を走る気満々に走り出しましたが、あまりの絶景につい足を止めて撮影したくなってしまいます。
右舷から船首を回って左舷に行く時に、目の前に真っ白い山が見えると「おぉ〜」と声が漏れる程の美しさです。
朝よりも雲が少なくなり、コントラストもくっきりです。氷河のような感じの場所(写真中央とそのやや左の二か所)も見えました。

【画像はクリックで拡大】
この絶景に加え、たびたびブリッジの当直航海士からクジラやらペンギンが見えています、と放送が入るためさらに足が止まります。

プロのようにはいきませんが、何枚か影を捉えることが出来ました。クジラはゆったりしているのでまだ何とかなります。

【左の画像はクリックで拡大】

驚く程早く泳ぎ、かつ小さいペンギンはかなり難しかったです。まるで魚のような動きでした。

【画像はクリックで拡大】

走ったり写真を撮ったりと普段の倍近く時間をかけて、息を呑むような絶景の中、12時半頃無事10kmを走り終えました。
夫は半分ぐらいでいなくなったと思ったら、残りは12Fのジムの機械で走ったそうでした。シャワーをした後、ダイニングへ楽しみにしていたちゃんぽん麺を食べに向かいました。
すると途中7Fのデッキにカメラマンがいるのが見え、またクジラかなと外に出ると白い山が南極海に映りこんでそれはそれは美しいことになっていました。太陽高度が43度を超えた12時半ぐらいから1時間ぐらいが一番綺麗だった模様です。折角なので写真を撮影してもらい、後ほど購入しました。
麺物 長崎ちゃんぽん
蒸し物 海老シュウマイ
御飯 十五穀米御飯 香の物
デザート 葛苺餡

「足りない」と夫はちゃんぽん麺をオカワリしていました。

このゴハン中、ブリッジからの案内通りアザラシ(系)が氷山に乗っかって右舷に流れて来ました。休憩しているのか、単騎なのが面白いです。
外は南極の絶景時々アザラシ、中では長崎ちゃんぽんの贅沢ランチを堪能することが出来ました。
部屋に戻ると、今度は左舷にアザラシの群れの乗った氷が流れて来ました。1、2、3…と数えると大小合わせて7頭いるようです。

【画像はクリックで拡大】
オスを頂点としたハーレムなのでしょうか?中央右で一頭だけ仰向けで余裕を見せているのがボスかもしれません。それぞれに距離を取っているのが結構ウケました。
アザラシ達がゆっくり遠ざかるのを眺め、11Fに行く準備をします。14時から「赤いパルカでプールサイドに集合!!」という南極の海風と氷を体感しようという催しがあるので出かけました。
14時ちょっと過ぎに行ったら11Fは既に赤いパルカ軍団でいっぱいでした。パルカでなくてももちろん良いのですが、折角の支給品なので私達二人も着用し赤くなって一体感を楽しみます。

コーナーでは何ともつ煮が振る舞われていました。普段はあまり食べませんが、こういう時にはやはり積極的になります。

天気予報が外れて素晴らしい快晴のもと、南極でもつ煮を食べながら今度は瀬木さんのケーナの演奏に聞き入ります。
そしてエンタメチームの催しで、ローラーブレードの競走がありました。パドックで各馬の調子を見極めます。

夫は若手二人が勝つ予想、私はベテラン二人が権力で勝つ予想だったのですが、結果はその中間で二人とも外しました。

アルコール類が出なかったのは昼間だし仕方ないですが、最後はナマナの音楽で船上の定番、ダンシング・クイーン等を皆で踊りました。
パルカでは暑過ぎる位の陽気(6℃)のもと、南極祭り(勝手に命名)は盛況のうちに終了しました。予報通り「時々雪」だったらリドグリルでひっそりともつ鍋が出ただけかもしれません。ここまで綺麗に晴れ上がってラッキーでした。
展示してあった南極の氷は右がチャーターした「シー・エクスプローラー」から(ウシュアイアで?)貰ったもの、左が先ほど苦労して採取していた氷でした。雪が降って圧縮されて氷になり、陸から押し出されて氷山になるまでに1万年かかるとも言われています。
南極祭りの余韻で、2011年世界一周来の船友夫妻2組とティータイムになりました。1組は城東、もう1組はみなとみらいにお住まいです。写真の飲み物はアイスコーヒを頼んだあと、それをアイスコーナーに持って行ってバニラをトッピングしてもらったコーヒーフロートです。
このみなとみらいのご夫妻は、オプショナルツアー説明会の時に「イグアスの滝なんか興味ない」と言った夫に「あなたも行くのよ」と言ってくれたおかげで、リオデジャネイロ発のツアーに一緒に行けることになりました。
帰りにフッティルーテン(Hurtigruten)系のフネがこちらに向かって来るのを発見しました。向こうの方が小さいので、慌てて7Fに下りました。

行き交ったフネは探検船「フラム(FRAM)」でした。ノルウェーの沿岸急行線はこの寒そうな雪山がとても似合うカラリングで綺麗です。

この可愛らしい船は、2011年世界一周クルーズのオプショナルツアーの「アマデアで行くキール運河」のキール運河のバルト海サイドの閘門を出た直後にすれ違ったことから、縁のあるフネなのだろうと思います(右の写真は2011年のキール−ホルテナウ閘門)。
16時過ぎからパルカを着込んでバルコニーでビアタイムにしました。
自然な感じで時折クジラが出たりする中、キリン一番搾りを飲む贅沢です。
ゴハンまでまだ時間があるため、手持無沙汰の夫がフィットネスに筋トレをしに行きました。ふっと一人になるとそれはそれで贅沢な時間が流れます。
18時頃に本船からのチャーターツアーで出た「シー・エクスプローラー」とランデブーをします、と案内が入ったので少し前から11Fオモテでスタンンバイしました。ギャラクシー・ラウンジでの「アルゼンチンタンゴショー」にも興味があったのですが、ランデブーを優先しました。
最初はゆっくり近づいて来たフネが、途中からみるみる大きくなって感動的に右と右で行き交いました。目立つように日の丸を持っていたのですが、見えたでしょうか。
と、これで終わりかと思いきや、先方の船長は本船をぐるっと回る大サービスをしてくれました。流石小型船は機動力が違います。
飛鳥Uからのオプショナルツアーのチャーター船と言えば、2011年の時は私達の方がツアーでもと「飛鳥」の「アマデア」に乗っていて、飛鳥Uが先に出港しすぐそばを通り過ぎて行きました(写真は2011年のアムステルダム)。

飛鳥Uからの見物の引き揚げは早く、「シー・エクスプローラー」の方はしばらく見守っていたように感じました。

絶景の中でもジョギングをした日は洗濯が必要です。部屋に戻る途中で乾燥機に詰め替えました。
戻って何気なくGPSを見ると、今度はシルバーシー船と行き交いそうなのがわかりました。
慌てて7Fに駆け下りると、既に遠ざかりフェーズに入っていました。でもとてもキレイです。南極を航行する探検船はすべてアイスクラス(耐氷能力)を備えていて、シルバー・エクスプローラーは1A(夏秋の多年氷が一部混在する薄い一年氷(1mぐらい)がある海域に対応)、シー・エクスプローラーは1C(50cmぐらいの氷)だそうです。
慎重に航行しているであろう本船飛鳥Uに対し、多少の氷は気にする必要がないアイスクラスは強くていいなぁ、とちょっと羨ましく思います。
太陽はかなり低くなっていますが、まだまだ沈むことはありません。
この景色に見とれてしまい。ゴハンがスタート時刻より少し遅れて着席しました。
珍しくダイニングでビールを注文しました。夕方にバルコニーで飲んでいますが、時間も経ったので仕切り直しです。
Appetizer
イカのマリネ カリフラワーのピューレと共に
Soup
キャベツのクリームスープ
食事の最中も、ずっと南極です。
20時10分頃「ハンゼ・エクスプローラー(HANSE EXPLORER)」という名前の船と行き交いました。調べたらチャーター専用で、キャビンは僅か6つと(本物の)オーナーズ・キャビンがある2006年に出来たヨットでした。

【画像はクリックで拡大】
From the Sea
鰈と白菜のヴァプール
Main Course(夫)
スパゲッティナポリタン

Main Course(私)
黒毛和牛のローストビーフ
味噌と胡麻のディップ

予めオカワリをお願いしてあったのですが、写真の撮影時刻を見ると、5分とかからず1枚目を食べたみたいです。

Dessert
ヘーゼルナッツと珈琲のダコワーズ バニラアイス
ウシュアイアで仕入れたカラファテのジャム添え
前菜のイカは微妙でしたが他はすべて美味しく、特にサシの入った黒毛和牛は感涙ものでした。ここの所力の入らない和食が多かったので、久々の豊漁に大変満足しました。…にしても、皆この料理を1時間も経たずに食べ終えていなくなってしまうのは"MOTTAINAI"の極みです。
ところで、ゴハンの終了間際、山の上に変わった形の尖った岩があるのに気付きました。
何とも言えない形なのですが、きつい環境のこの地でどうしてこの岩が削られず残っているのかとても不思議でした。
本船は現在南極半島に沿って東に航行しているので、左舷にあるのはブラバント島(Brabant Island)です。
これはこれで綺麗ですが、最後にもう一度南極半島を見ておこうと思い立ち、21時半頃7Fのデッキへ見に行くことにしました。
船尾から夕陽の長い影が差していました。半島まではちょっと遠目でしたが、これは紛れもなく南極大陸の一部です。


巨大な氷山が次から次へと海の押し出されているこの光景も見納めです。
デッキの気温計は0℃まで下がっていました。
40分頃部屋に引き揚げ、バルコニーに出るとより近くに山が見えて綺麗です。
そして山の左方向、本船の船尾方向で日が沈み始めたのでした。地形のデコボコに沿って光が届く所と影になったところとの濃淡の差ががキレイです。

そして日の傾きに応じ黄色っぽかった光が薄いピンク色に変わっていきました。

今日の日没は22時20分と、本航海では一番遅い時刻でした。とても美しい夕暮れでした。
今日のフィナーレは、昼間プールデッキに展示してあった南極氷の、取れそうな部分を(こっそり)ポキっと折って冷凍庫にしまってあった氷です。水割りに入れることにしました。
1万年前の空気が眠りから覚め氷から開放される「プチプチ」音が何とも言えません。味というよりも、音とロマンを楽しんだ水割りでした。
でもこの中に未知の病原菌がいたらどうしようかとチラっと考えましたが、凍っていたので多分大丈夫ですし、何があっても自己責任です。このあとブリッジ教室の同じテーブルの女性からも「氷が手に入った」とお裾分けがありました。南極の氷の音のことは何かで知っていて、それを聴いてみることは長年の夢でした。

23時頃でもまだまだ明るい南極の空です。

翌日貼り出してありましたが、本船の最南端位置は14時10分で南緯64°57'.8(西経63°23'.6)だそうでした。手元GPSでは14時12分の南緯64°57'48"で、時間以外はほぼ一致していました。
フネありペンギンありクジラあり祭りありと充実した一日はあっと言う間だったものの、一日中テンションが高かったようで、さすがに疲れていたのかいつもより早めに就寝しました。